突然庭先に植えてもいない彼岸花が咲いたらびっくりしますよね
実は彼岸花に似たコヒガンバナと呼ばれる品種が存在します。
ヒガンバナは日本全国の土手や草地など身近なところで見られますが、稲作とともに大陸から渡ってきた植物と考えられています。一般的には「彼岸花」「曼殊沙華」と呼ばれることが多く、他に「墓花」「幽霊花」「火事花」など、別名、地方名を数多く持つ植物です。ネガティブな名前が多いのは、仏教由来の名前であることや有毒植物として知られていたことが関係しています。土葬が多かったころは獣に荒らされないようにお墓や寺院に植えたり、モグラやネズミ除けとして畔や土手に植えたりしたことから、不吉なイメージの名前が多くつけられてしまったようです。
日本で見られるヒガンバナは三倍体のため、種ができないといわれています。開花後には実がつきますが、種が熟さずしおれてしまいます。そのため球根(鱗茎)で増えたクローンと考えられ、時期がくると一斉に花が咲く現象が起こります。接ぎ木で増えたソメイヨシノや挿し木で増えたキンモクセイなども同じで、遺伝的な変異がないため、同じ地域では同じタイミングで咲きます。
ところがヒガンバナの中には他よりも1か月ほど早く咲くものがあります。これはコヒガンバナ(小彼岸花)と呼ばれる二倍体のものです。原産地の中国にはもともとコヒガンバナがありました。突然変異で三倍体ができ、これが日本へ渡ってきたと考えられますが、どこかで二倍体のコヒガンバナも混ざっていたのでしょうか。もし開花時期の早いヒガンバナの花をみつけたら、黒い種ができるか観察してみましょう。小彼岸花といっても花が小さいわけでなく、彼岸花との見分けは難しいようです。
コヒガンバナとは?
普通のヒガンバナは開花はするが,3倍体(染色体数33個)という構造のため,正常な減数分裂ができず種子はできない。よって,球根(正確には鱗茎,地下茎)で増えるため,遺伝子の変化はないのでは?
ところが,シロバナヒガンバナはヒガンバナとショウキズイセンの雑種という。種子ができる2倍体(染色体数22個)のヒガンバナ「コヒガンバナ」に興味を抱くことに。コヒガンバナは「小彼岸花」,普通のヒガンバナより一回り小型で,開花時期が一月ほど早いのが特徴。
というわけで、突然咲いている場合にはコヒガンバナの可能性が高いです。
ネガティブな言い伝えの多い花ですが、なんだかあの個性的で印象的な見た目は私は大好きで、実家の庭にいつからか自生していますが、そのままになっています。